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2014.10.19
ときどき、お客様から無線LAN環境を作るには何を揃えたらいいですか?
といったご質問を承る事があります。
少し、基本に戻ってご説明します。
もっともシンプルな構成では最低「2つの契約」と「3つの機材」が必要です。
■必要な契約
必要な契約とはインターネットへ接続するための契約の事です。
1つ目がインターネット回線です。NTTさんであれば、「フレッツ光」等と呼ばれる回線契約です。
2つ目がプロバイダ契約です。プロバイダ契約とはインターネットへ接続する為の契約です。
この2つの契約がないと、そもそもインターネットへの接続自体が出来ません。
しかし、最近では某電力会社等、光回線とプロバイダ契約をセットにした事業者等もいますので、その場合は1つの契約でインターネットへ接続する事が出来ます。
■必要な機材
・ONU (光回線終端装置) ※光回線の場合
・ルーター
・アクセスポイント (無線機)
これらの機材の内、原則ルータとアクセスポイントは自分で用意します。
・ONUとは・・・・
「ONU」とは光回線の契約を行うと通信事業者が宅内に設置してくれます。
NTTさんと契約するとNTTの光回線工事業者が来て設置してくれます。
・「ルーター」とは・・・・
「ルータ」とはインターネットに接続する為の機材です。
ルータを使用するメリットは様々ですが、特に企業で使う場合や、家庭内でも複数のパソコンやネットワーク機器がある場合はルータを使ってインターネットに接続する事が一般的です。ルータを使用する事により、その配下に複数のパソコンやネットワークプリンタ等を設置する事が出来るようになります。
通常はこのルータ機器にプロバイダの接続情報などを設定してインターネットへの接続を確立します。
・アクセスポイントとは・・・
「アクセスポイント」とは無線LANを利用する端末と通信をやりとりする為の無線基地局の事です。
通常は、このアクセスポイントにSSIDや接続パスワード、セキュリティ方式等の様々な情報を登録して無線LANが利用できるように設置を行います。
・無線LANルーターとは・・・
すこしややこしいかも知れませんが、家電量販店の売り場を見てみると、「無線LANルータ」という物が販売されています。
「無線LANルータ」とは、前述のルータとアクセスポイントを一緒にした複合製品です。
アクセスポイントの事をルータと混同して、「ルータを増設すれば早くなりますか?」といった質問が飛び交うことがありますが、但しくは「アクセスポイント」を増設すれば・・・です。 通常、ルータと呼ばれる機材ははひとつのネットワークに1つしかありません。※意図的に何らかの理由があって、複数のルータを置く設計はあります。
既に運用稼働中のネットワークに「無線LANルータ」を何も考えずに取付を行うと、障害の原因になりますので注意が必要です。エリア拡張等で機材増設が必要な場合は「アクセスポイント」という機材を増設します。どうしても急を要して「無線LANルータ」しか調達できない場合は、最低限「DHCPサーバー機能」をOFFにしてWAN側ポートには何も挿さないようにして無理やりアクセスポイントとして使用します。あくまで暫定措置として考えた方がいいと思います。
ルーターもアクセスポイントも各メーカーで製造販売されていますが、機能も価格も性能もそれぞれに個性があります。
アクセスポイントでの価格の違いは、性能や耐久性の違いと大きく関係性があります。
私達の業務で一番多いお客様からの御相談は「無線LANに繋がらない」「切れたりして不安定」といった内容です。
例えば、量販店で販売されている廉価製品の多くは、一度に大量のデバイス(PCやスマートフォン等)が接続出来なかったり、電波干渉に対する耐性が弱かったりします。また業務用途と明記されている製品でも使用する環境によって、全く使い物にならないケースも多々有ります。
・無線LANの通信が遅い場合は?
無線LANがあるけど、速度が非常に遅いといったご質問をお受けする事があります。
その場合、速度が遅い原因がどこにあるのかを絞り込む事は専門家でなくても出来る方法を説明します。
前述した、機器構成をもう一度おさらいしてみましょう。
機材は【ONU】-【ルータ】-【アクセスポイント】・・・【無線LAN端末】 といったように接続されています。
まず、ルータの下に有線LANでパソコン等を接続してみます。そこでインターネットの接続スピードを計測してみましょう。
ここが遅ければ、光回線そのものが遅いか、ルータの性能自体が悪いかと最初の切り分けが出来ます。
では、どちらが遅いのか、今度は【ONU】に直接PCを接続してみます。この時、パソコン自体の設定を少し変更しなければなりません。パソコンにプロバイダから貰った接続ID&パスワードを設定して接続してみます。これで遅ければ回線自体が遅い事になります。
※PCで直接ONUに接続する方法は割愛します。
さて、光回線自体が遅くなく、ルータの下に接続したら遅いという事になれば、ルータが原因である事が分かります。少し性能の良い物にリプレースが必要になるでしょう。
ルータ直下で遅くなければ、LAN内のどこか、又はアクセスポイントとの無線通信自体が遅い事になります。
試しにアクセスポイントが直接刺さっているスイッチングハブのポートをPCと入替えて速度を計測してみます。ここで遅ければ、LAN内のどこかに原因がありますが、この場合はネットワーク構成図を見て原因と思われる所をひとつひとつ潰して行く必要があります。実際これは気が遠くなる作業ですが、この場合は私達のようなネットワークの専門家による診断を勧めします。
ここで遅くなければ、最終的にアクセスポイントの無線LAN通信が遅いという結論に至ります。
無線LAN通信が遅い原因は実に様々です。
アクセスポイントが大量に有り過ぎたり、逆に少なすぎたり、近隣他社からの外来波による影響であったり、コードレス電話機だったり・・・、外部認証サーバーとの連携が遅かったり・・・。実に様々です。
最近ではインターネット上に無線LANの電波状況を計測できるフリーツールなども出回ってきました。
こういったフリーツールを使えば、どのチャンネルがどの位のアクセスポイントで使用されているか把握する事が出来ます。
しかし、残念なことに特に2.4GHzの無線LANでは、こうしたフリーツールの測定結果はある程度参考にはなりますが、根本的な解決に至る事は少ないと思います。
なぜなら、フリーツールはWiFiの電波しか見えないからです。
特に2.4GHz帯の無線帯域はISMバンドと呼ばれ、無線LAN以外の電波も利用できる帯域です。その為、様々な電波が飛び交い、無線LANに様々な悪影響を与えています。
無線LANの通信では他の通信に影響を与えないように、他が無線LANを使っていたら自分は無線LANの使用を少し控えるといったように、「CSMA/CA」という通信規格に則って通信を行っています。
しかし、例えば同じISMバンドで電波を発する電子レンジ等は、いちいち、他の通信の状況などを見て電波の発射を控えるといった考え方がありません。お構いなしに自分が好きな時に強い電波を発してきます。フリーツールではこうした電子レンジの電波を見る事は出来ないのです。
実際の構築でお客様が驚かれていた事がありました。やはり、フリーツールを使って、他の無線LANが使ってなさそうなCHを拾って、各アクセスポイントのCHの割当を行っていました。
しかし、驚かれるのも無理はありません。お客様自身も自分たちでフリーツールを使って、自社の電波環境はおよそどうなっているのか、把握されていたはずです。私達が行ったサーベイでは、場所によって、沢山のアクセスポイントの同CHが重なる所に、自社のアクセスポイントのCHも重なるようにCH設計されている所が数箇所ありました。
沢山WiFiのチャンネルが重なる所が、必ずしも電波が混み合っているとはイコールではないのです。
こうした調査は、フリーツールでは分かりません。通称「スペアナ」と呼ばれる「スペクトラム・アナライザ」という高価な測定器を使わないと本当の電波環境は分からないのです。
こうした電波の測定器を使用すれば、本当の電波環境を把握する事が可能となります。
さて、途中から話が熱く脱線してしまいましたが、無線LAN環境の構築では、機材の選定も非常に重要です。
半径30m程度の見通しのよい場所では1台のアクセスポイントでも全体を十分カバーできます。
しかし、この中の利用者がどの位いるのかも重要です。5人以上いれば、量販店のアクセスポイントで安定通信を得る事は難しいかもしれません。20人を超えれば業務用途のアクセスポイントでも1台では安定運用は難しいかもしれません。
そして、どのような通信をするのか、単純にインターネットのブラウジングだけなのか、動画を見るケースが多いのか、ゲーム開発会社のように、一人がいくつもデバイスを持ち、絶えず通信を行っているのか、こうした条件から適切な機器を選定することも大変重要です。
幸い私達は様々な業態の企業様の無線LAN構築のお手伝いをして参りました。
アクセスポイント数台のお客様から数百のアクセスポイント設置設計まで、多くの実績とノウハウがありますので、お気軽に御相談頂けると幸いです。
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