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無線LANあるあるトラブル|アクセスポイント過剰設置!?

2018.04.02

当社には一般エンドユーザをはじめ、システム開発会社様やネットワーク関係の会社様、商社等無線LANに関連するさまざまな通信不良等のトラブルのご相談や調査のご依頼を頂いています。

このコーナーでは実際にあった無線LAN障害の事例を御紹介します!!こちらをご覧になられた方々が同じような不具合に悩まされていましたらトラブル解決への糸口になればと思います。

アクセスポイント過剰設置!?

東京都内のとあるお客様より無線LANの障害の調査をして欲しいとご依頼を頂きました。

まずはお電話とメールを並行して症状をお聞きしてみると、お客様からは次の通りの申告を頂きました。

・電波が弱いのかなと思ってみたが、パソコンのタスクバーに表示されているアイコンをみると常に電波は最強で受信している。

・ノートパソコンを持って他の場所に移動すると繋がり易くなる事がある。

・社員が多い時に速度が遅くなったり、無線が途切れる事がある。

・無線は5GHz帯(IEEE802.11ac)を使用している

ここまでの事をお聞きし、なるほど恐らく近隣の会社から外来波が侵入してきて干渉しているのかなという印象を受けました。

例えば場所を移動してみると繋がり易くなるというのは、通信障害が多いエリアは外来波との干渉が多く、繋がり易いエリアでは干渉度合いが少なくなっているのではないかと考えました。

やり取りの中で、調査に際して準備が必要なので平面図のご提供をお願いしました。

するとお客様のオフィス環境は高層ビルの比較的高層階にあり、同フロアには他の入居者がいません。

フロア全体を占有使用しているようです。

外来波は当然フロアを跨いで上下階も抜けますが、それにしても干渉元となる外来波はそんなにも密になっていないのではないかなぁと環境的に少し違和感を感じます。

そしてアクセスポイントの置局位置図を頂いて、なるほど!これが原因の可能性があるな!と当たりを付けました。

置局位置図を見ると概ね5m間隔でAPが置局されていいました。

どうしてこんなにAPを沢山付けられたのですか?とお聞きすると、

お客様からは「電波が入りにくい所があったり、通信速度が思ったほど上がらないといった症状があり、特に症状がひどい所は集中的にアクセスポイントを増設・増設を繰り返してきました。また社員の増加が年々増えておりそれに合わせて増設を行っています。」

とご説明を頂きました。

現地でのサイトサーベイを終え、データの分析に入ると思った通りの結果が出ました。

障害の原因は自社で過剰に設置したアクセスポイント同士の自局間干渉です。

お客様ご自身で増設を繰り返して設置したアクセスポイント自身が干渉元となり相互に干渉を与え、通信の品質を著しく落としていたのです。

さらにもう一つ原因がありました。

アクセスポイントのチャンネルボンディングの設定がアクセスポイント毎に異なっており、VHT40/VHT80の混在の環境になっていました。

デスクの位置関係による人の密度や1名辺りの接続デバイスの数、その他無線LANに接続しているデバイスの情報等を整理し、最終的にはアクセスポイントのいくつかを停波しAPを間引くご提案をさせて頂きました。

機器自体の取り外しは行いませんでしたが実に設置されたアクセスポイントの概ね50%程度のAPを停波する事にしました。

それでも少し多いと感じる置局数です。

そしてVHT40/VHT80の混在環境を全てVHT20に統一し、外来波も考慮しながらアクセスポイント毎のチャンネル設定も固定に変更しました。

その結果、無線LANの通信環境は劇的に改善する事が出来ました。

実はこのように過剰設置がトラブルの原因になるケースは比較多いように感じます。

同様のケースをいくつか見てきました。無線の通信が不安定なのはアクセスポイントが足りないからだろう。

では増設しようという判断で帰って電波環境は悪い方向に向かってしまうケースです。

チャンネルボンディングを設定するか否か、これも実は判断が非常に難しい所です。

例えば小規模事業所でAP1~2台であればチャンネルボンディングしようという判断になる可能性は高いのかなと思います。

一方で比較的狭いエリアに人と接続デバイスが集中していて、それに合わせてAPの置局数も比較的多い環境であればチャンネルボンディングを行わない方が返って通信は安定する場合があります。

1つ重要なポイントとして押さえておきたい事はアクセスポイントを置局する事は即ち干渉元を増やしてしまう事にもなる場合があるという事です。

アクセスポイント間のチャンネルが出来るだけ被らないように設定する事が重要ですが、使用出来るチャンネル数も限りがある為、あまりに狭いエリアで多くのアクセスポイントを設置するとチャンネルの逃げ場が無くなってしまう事があります。

さらにチャンネルの設定は自局だけではありません。

近隣に設置されたアクセスポイントの電波が自社エリアに侵入していた場合、その度合いによってチャンネルが被らないようにするなどの対策が必要になります。

この事例では正しいアクセスポイントの数を適正数にし、セル設計を正しく行い、CHの使い方を適切に行う事で解決した事例です。

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