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無線LANよろず講座

無線LANあるあるトラブル|電波が届いている筈なのに届いていない??

2017.06.15

無線LANあるある!トラブル 

当社には一般エンドユーザをはじめ、システム開発会社様やネットワーク関係の会社様、商社等無線LANに関連するさまざまな通信不良等のトラブルのご相談や調査のご依頼を頂いています。

このコーナーでは実際にあった無線LAN障害の事例を御紹介します!!こちらをご覧になられた方々が同じような不具合に悩まされていましたらトラブル解決への糸口になればと思います。

電波が届いている筈なのに届いていない??

あるお客様から突然このようなご相談がありました。

「電波が届いている筈なのに届いていないので相談に乗って貰えないか?」

届いている筈なのに届いていないとは、どういう意味でしょうか。

実はかなり前に(といっても3年程前頃)無線LANの導入をされたそう。その時に簡単なサイトサーベイもやって貰って電波が届いている事も確認したそうです。

でも、実際にPCで無線LAN接続させるとどうも電波が弱い気がしている。

そのサイトサーベイの結果って見せて頂く事は出来ますか?

とお願いしてサイトサーベイの結果を見せて頂きました。そこには全体的に電波が届いている事を示すRSSIのヒートマップが示されています。

しかし、このヒートマップをみて直ぐに違和感を感じます。

これって具体的にどこのポイントで測定したか分かりますか?とお聞きしましたが、前の事なのであまり分からないそうです。

筆者がどこに違和感を感じたか、それは2点あります。

・RSSIを示すヒートマップの半径が広い。

・測定点の記述が無い

RSSIヒートマップ 測定点記録が無い/伝搬範囲の設定が大きすぎ

※このヒートマップはイメージです

まずヒートマップをみてみるとRSSI電波の強度を示す範囲と何もない所の境目をみると境目の径がかなり広いように感じました。

そしてとても大事な情報である、測定点の情報が何もありませんでした。サーベイツールを使用して測定を行うとどこで測定を行ったか、どういう経路で行ったかの軌跡が表示されます。

例えばあるエリアで「コの字」に測定を行っていったとき、測定点と測定点の間の受信電力の値は信頼性が高いですが、測定点と測定点のその先、何も測定を行っていない所では測定器は計算で論理的に受信感度を示します。

例えば執務室と共用部の廊下が隣接していた時、執務室の廊下に一番近い所で廊下の方向に沿って執務室側で測定を行って言った場合、その執務室側のヒートマップは信頼性が高いのですが、残念ながらサイトサーベイの測定器はこの壁を認識していません。サイトサーベイ測定器の伝搬範囲の設定値が10mだった場合、執務室側でしかデータを取っていない場合でもまるで壁を挟んだ廊下も電波が強い強度で届いているように見えてしまいます。これを避ける為に本来カバー範囲とはされていない廊下側でも測定を行えば、廊下側にどの程度電波が漏れているかを把握する事が出来ます。

上のヒートマップでは確かに全体的に電波が届いているように見えています。

そしてもう一点気になる事がありました。外来波も資料には報告されているのですが、その外来波は単にリスト表示されているだけで、外来波のAPの名前やMACアドレス、受信強度と使用CHの記載は確かにあるのですが、それがどの測定ポイントで検出されたのかこのリストからは何ら判断が付かない状況でした。

お客様には、「あくまで推測ですが、恐らくこのサイトサーベイですが、仰られているエリアで測定をしていないのではないでしょうか。」という事をお伝えしました。

それでは実際にはどのような状況だったかというと、以下のイメージです。

実際のRSSIヒートマップ

※このヒートマップはイメージです。

左右中央の上下の部屋では測定を行っていませんが、このヒートマップ図ではあたかも部屋の半分位迄は電波が届いているように見えています。

しかし実際には図に示すように測定点が無いので測定は行っていません。このように壁は認識していませんので、測定を行っていない部屋や建物外壁の外にも電波が届いているように見えてしまいます。どのポイントで測定を行ったかは重要なポイントです。

結果的にはサーベイのやり直しでご依頼を頂きましたが、やはり意図した場所に対しては電波が充分に届いて居ない事が分かり、APの増設を行う事で解決になりました。

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